NO3「テントも嫁入り道具の一つ」
2000.3.19掲載
 今回は、嫁入り道具の一つが、テントのお話です。
 GW後の平日にお越しになった新婚のカップル、手慣れた設営で準備も終わった様子な
ので「平日がお休みですか?」と声をかけた所「GWが仕事で今日からお休みです」との
返事。
 ふと、設営されているテントに目を向けると、ヨーロッパ製で性能も優れたテントだっ
たので「いいテントをお持ちですね。このテントをお持ちの方は、年間数組程度しか来ら
れないので、なかなか拝見出来ませんよ」とお話した所、奥さんが「相当古い物ですから
だいぶんガタが来てますけど、なかなか買い換えが出来なくて使っているんです」とのご
返事。
 「10年ぐらいお使いですか?」の問いに「20年ぐらいになりますね。我家が初めて
キャンプに行く時に、買ったテントですから。それ以来、妹、弟と家族が増えても、しば
らくの間はこのテントを持ってキャンプに出掛けてましたけど、家族全員では狭くなり、
倉庫の奥にしまっていたのですが、私が彼と結婚する事になり、嫁入り道具の準備をして
いる時、父が『これも邪魔にならないようなら持って行けばいい』と倉庫から出し、手渡
してくれたのです。それで今日はこのテントの、新たな家族でのキャンプ再出発の記念す
べき一日なのです」とのお話。
 もちろん「なかなか買い換えが出来なくて」と言うお話の意味は、キャンプの思い出が
いっぱい詰まったテントと、大切に保管し、持たせてくれたお父さんへの感謝の気持ちに
他ならないはずです。
 キャンプを通して築く家族の思いやりの深さに、気付かせて頂いたご夫婦でした。